「親が元気なのにお墓の話を始めた」本当の理由

「親が元気なのにお墓の話を始めた」本当の理由

ある日、親からふとこんな話をされたことはありませんか。
「お墓のこと、そろそろ考えておこうと思ってね」
特に体調が悪いわけでもなく、日常生活も問題ない。
それなのに突然お墓の話をされると、戸惑ってしまうのも無理はありません。
ですが、その背景には、案外知られていない前向きな考え方があります。

「寿陵(じゅりょう)」という考え方
生きているうちに自分のお墓を建てることを、寿陵(じゅりょう)と呼びます。
寿陵は決して最近生まれた言葉ではなく、もともとは「長寿を願い、先の心配を減らすための準備」として古くから使われてきた考え方です。

親がお墓の話をするのは、「縁起でもないから」ではなく、むしろこれからの人生を落ち着いて過ごすための選択である場合が多いのです。


理由①「今なら、落ち着いて考えられるから」
年齢を重ねると、「元気なうちに決めておいた方がいいこと」と「その時が来てからでは遅いこと」の区別が、自然と見えてきます。お墓は、その代表例です。
慌ただしい状況で決めるより、体力も判断力もある今の方が、場所・費用・形について冷静に考えられる。親世代は、そうした現実をよく理解しています。

理由②「子どもに迷惑をかけたくない」
多くの親に共通しているのが、この思いです。亡くなったあとに、慌てさせたくない。兄弟姉妹で揉めてほしくない。「どうするのが正解だったのか」で悩ませたくない。
つまり、お墓の話は子ども世代への配慮から出てきていることがほとんどです。
重たい話に聞こえるかもしれませんが、実際はとても実務的で、親らしい判断とも言えます。

理由③「自分のことは、自分で決めたい」
親世代にとって、人生の多くはすでに「誰かの都合」に合わせてきた時間でした。
だからこそ最後のことくらいは、場所や形を含めて、自分で納得して決めたい。それは、自然で健全な気持ちです。
子どもにすべてを委ねるより、自分の意思をきちんと残しておきたい。その表れが「生前にお墓を考える」という行動です。


今どきのお墓は、昔のイメージとは違います。
「お墓は代々守るもの」という印象が強いかもしれません。ですが現在は、継ぐ人がいなくても問題ないお墓、管理や供養を任せられる仕組み、子ども世代に負担を残さない設計、など、選択肢がかなり増えています。親が早めに動くことで、子ども世代の生活や将来設計を圧迫しない形も、選びやすくなっています。

どう受け止めればいい?
親からお墓の話が出たとき、すぐに賛成や反対をする必要はありません。
まずは、「どうしてそう考えたのか」「どんな形を考えているのか」を聞いてみるだけで十分です。その会話自体が、これから先の不安や負担を、少しずつ整理してくれます。

親が元気なのにお墓の話をするのは、不安だからではありません。元気な今だからこそ、できる準備なのです。

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