墓じまいを実際に手続きを進めようとすると、「そもそも墓地の管理者がわからない」という問題に直面することがあります。
管理者がわからない墓地の例として、個人や集落単位で墓地を設けた例が多くあります。こうした墓地は、次第に管理者が亡くなり、名義人不明の無管理墓地として残るケースが少なくありません。
このような墓地では、墓じまいを進めようにも、誰に承諾を得ればよいのかがわからず、手続きが止まってしまうのです。
墓地管理者が見つからない場合の探し方
管理者不明の墓地であっても、次の手順で確認・調査を進めることが可能です。
(1)墓地の所在地の自治体に問い合わせる
まず、墓地が所在する市区町村役場の環境課・生活衛生課・保健所などに相談
します。墓地は「墓地埋葬法」に基づき許可制で設置されているため、設置許
可の台帳に管理者情報が残っている場合があります。
(2)法務局で土地登記を確認する
登記簿謄本を取得すれば、土地所有者を確認できます。所有者と管理者が一致
しない場合もありますが、手掛かりになります。
(3)近隣住民・地域の自治会・寺院への聞き取り
特に古い墓地では、地域の自治会が歴史的経緯を知っていることがあります。
「昔は○○家が世話をしていた」「○○寺が供養していた」など、口伝情報が最も
実用的なケースも多いのです。
それでも管理者が見つからない場合は、墓地管理者が不明でも、勝手に撤去することは法律上できません。しかし、自治体へ相談し状況報告や墓地管理者が不明である旨を説明し、行政指導のもとに正式な手続きを踏めば、墓じまいを進めることが可能です。
墓地管理者がわからないという現象は、日本社会が「家」から「個」へと移行する過程で生じた課題のひとつです。
放置墓・無縁墓を減らすことは、地域環境の保全や景観維持にもつながります。
